指導者として最近思うこと

指導者という立場になり、監督として、また審判として大会に行き、思うことがあります。
特に夏となれば全国大会がかかった大一番があり、小学生、中学生、高校生の稽古の集大成、人生をかけた勝負といっても過言ではない大切な大会で審判をしたり、監督をします。
審判をしているときは、誤審が許されない緊張感の中、有効打を見極める。監督のときは、子供を負けさせるわけにはいかない緊張感の中、監督席に座る。
選手も、監督も、審判も、応援者もみんな必死で戦っています。必死なのだから、負けたときの悔しさは人間、当たり前だと思います。負けは認めたくないですし、審判批判や相手を悪く言いたくなるのも仕方ないのかもしれません。
 
そういった場面を見るたびに、改めて、元・高千穂高校剣道部監督吉本政美先生の言葉を思い出します。
「おまえたちから見ても、あまりにもということがあると思う。でもそれが世の中だ。だけども、剣道は悪くないんだ。こういった審判誤審があるからといって剣道を嫌になってほしくないと思う。剣道は素晴らしい。自分にいろんなことを教えてくれる。強い自分を教えてくれる。弱い自分を教えてくれる。優しい自分を教えてくれる。本当の王者というのは、まだね、こういうことがありながら、なんぼ打っても旗が上がらんで、上がらんでも、最後には等々優勝した。たいしたもんだ。この負けを機会にそういったことを学べたら、俺たちには大きなものが残るわけだ。」 

素晴らしい言葉です。負けたあと、愚痴をこぼすのは誰でもできる。そんな中、人のせいにせず、自らを戒め、さらなる高みをめざそうとする姿勢に感銘を受けました。

私自身、あと一歩で、一本で全国大会という場面で敗れたとき、愚痴をこぼしそうになりました。その時、高校時代の恩師は、「負けの原因は全て自分にあると思えば、次はまた大きくなれる。がんばれ。」とおっしゃられました。恩師に出会えたことを誇りに思います。

たくさんの感動が生まれる夏。しかし、その影では涙するものもいる。悔しいけれど、我慢しよう。人を悪く言わず、自分を高めよう。
指導者として、子供たちに負けを人のせいにしないことで大きく成長してほしいと思っています。